研究概要 |
炭素数76から90までのランタニウム金属内包フラーレン異性体をHPLC法で分離・精製した。各異性体のESRスペクトルは多様で、g値、超微細結合定数(a値)、線幅がそれぞれ異なっている。そこで定量的な議論をするため、溶液ESRスペクトルの線幅の温度変化を測定・解析して、各ESRパラメータの異方性項を決定した。各異性体のESRパラメータ・g値・a値・核四重極相互作用定数・線幅は多様で、電子状態と分子内運動性を反映している。 La@C_<82>を包摂したCuポルフィリンダイマー包摂錯体(La@C_<82>∈Cuポルフィリンダイマー)を合成し一般的なESR測定に加えてパルスESR測定(2D-Nutation測定)を行った。その結果3個の電子スピンが平行に結合して基底四重項状態が生成することが実験的に証明された。この結果は包摂錯体(M@C_<82>∈Mポルフィリンダイマー)が、フラーレン磁性超分子構築の基本構造となり得ることをはっきりと示している。 ガドリウム金属イオン内包フラーレン(Gd@C_<82>)について2つのマイクロ波周波数(X-band:9.5GHz,W-band:95GHz)でESRスペクトルを観測し、典型的な高スピン状態のスペクトルを得た。これらのスペクトルは内包されるGdイオン^8S_<7/2>状態とC82ケージ^2II状態の重ね合わせで記述することができ、2つのラジカルサイトの結合は極めて弱いと結論できた。
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