研究概要 |
高周期元素間に多重結合をもつ分子:(1)きわめてかさ高い置換基を導入することにより、ケイ素-ケイ素、ゲルマニウム-ゲルマニウムおよびスズ-スズ三重結合をもつ安定な分子設計の理論予測をした。同様な予測をシラノンやシラベンゼンでもおこない合成実験への重要な指針を与えた。(2)Na_2[RGaGaR](R=C_6H_3-2,6-(C_6H_2-2,4,6-i-Pr_3)_2)の記録的に短いGa-Ga結合距離は、ガリウム原子の初めての三重結合例として大きな話題となったが、系統的な理論研究により結合の本性を解明することに成功した。(3)小員環に取りこめられたゲルマニウム-ゲルマニウム二重結合の特異な構造と反応を実験と共同して明らかにした。(4)高周期典型元素と遷移金属間に三重結合をもつ分子の特性を解明した。(5)ポリフィリン骨格に閉じ込められた超原子価結合を明らかにした。 中空の球状構造をもつ分子:(1)フラーレンの光誘導ビスシリル化とビスゲルミル化の高選択的反応を明らかにした。(2)フラーレン化学において長年の課題であったLa@C_<82>異性体およびPr@C_<82>異性体の構造を初めて解明して電子特性を明らかにした。同様な研究をCa@C_<82>,Sc_2@C_<84>,La_2@C_<80>でも行なった。(3)3原子および4原子クラスターを内包するSc_3@C_<82>とSc_<3-n>La_nN@C_<80>(n=0-3)の構造と電子状態を明らかにして、内部回転の動的挙動と生成機構を研究した。(4)多環状の球状構造をもつ新しい分子の空孔への銅、銀、金イオンの取り込みを明らかにした。(5)分子カプセルの代表であるカルセランドへのゲスト分子の自己組織的内包への鋳型効果と動的挙動を研究した。(6)カリックスアレンの分子認識能を高める研究を行なった。(7)生体で重要な働きするチトクロムP450の活性部位の反応性を研究した。
|