研究概要 |
理論計算は、実験データの解析を補助するだけでなく、実験を補完し信頼できる独自の化学的・物理的情報を提供している。地球大気は簡単な分子から構成されており、地球環境に影響を与えている分子も、ほとんど簡単な分子である。この意味で、理論化学・計算化学は大気環境の分子過程の研究に寄与できる。このような観点で、研究課題の探索を進め、以下のような研究を実施した。 1.N_2,COなど大気中の基本分子の分光学定数精密計算 COのポテンシャルエネルギーと双極子モーメント曲線の精密計算に基づき、振動回転遷移確率を正確に求め、太陽大気の観測データの解析を行い,太陽大気中のCOの温度を見積もった。 2.水クラスター負イオンと水和された1族金属クラスターの研究と電子-水素結合概念の提唱 原子核を中心に持たない安定な電子雲状態の存在を見いだし、その構造をOH{e}HO構造と名付け、その結合状態は水素結合に類似した電子-水素結合と呼べることを明らかにした。 3.OHラジカルと飽和炭化水素の反応 4.OHラジカルとイソプレンの反応 5.イオン層D領域におけるオキソニウムイオンH_3O^+とその水和物の生成機構 6.分子間相互作用計算のための局所射影分子軌道法:BSSEを避ける分子軌道理論の開発 基底関数の不完全性(欠損)に由来する誤差(BSSE)を避ける理論的手法として局所射影分子軌道法を導出し、これに基づく摂動展開法を開発した。 7.希ガス原子Rgに溶媒和されたアルカリ金属イオンM^+
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