1.磁気微粒子表面に固定化された発光性ルテニウム錯体の電気化学発光反応の評価 発光性化学種(ルテニウムポリビピリジル錯体(Ru(bpy)3^<2+>)誘導体)を磁気感応性微粒子上に固定化して発光性の磁気微粒子を作製した。作用電極の裏側に磁石を置くことにより、発光性磁気微粒子を電極表面上に効率よく集めることができた。発光性磁気微粒子を電極表面に集めた後、トリプロピルアミン(TPA)を含む電解質溶液中で電極電位を正方向に掃引することにより、酸化電流の増加にともない発光反応が観測された。発光スペクトルより、磁気微粒子上に固定化されたルテニウム錯体から光子の放出が起きていることが確認された。自作した電気化学発光測定装置を用いて種々の実験条件下で電気化学発光測定を行ったところ、発光強度は、TPAの濃度および電解質溶液のpHに依存することが見いだされた。 2.電極表面における微粒子の凝集状態が及ぼす発光強度への影響 本研究では、電極表面における発光性磁気微粒子の凝集状態と電気化学発光強度の相関関係についても評価を行った。微粒子からの発光強度は電極表面上の発光性微粒子の個数(密度)および凝集状態にも依存することが見いだされた。CCDビデオカメラを用いて磁気微粒子の電極表面における存在状態を観察したところ、磁石が電極の裏側にある場合、磁力線に沿って微粒子が凝集している様子が観察された。微粒子の個数を増加させるにつれて凝集している微粒子の数は増加し、凝集した微粒子の個数の増加にともない発光強度は減少した.電極表面における微粒子の凝集状態を解き、個々の微粒子を話すことにより発光強度の増加が得られた。これらの結果より、発光強度が電極表面における微粒子の凝集状態に依存することが確認された。
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