ナマコをはじめとする棘皮動物には硬さを変えるキャッチ結合組織)が存在する。また、同じ棘皮動物の仲間であるウミシダには収縮する結合組織もある。ウミシダの腕の靱帯は、まったく筋肉を含まないにもかかわらず、硬さ変化と収縮を示す。高濃度にカリウムを含む人工海水の刺激に対しては、まず収縮が起こり、続いて靱帯は軟らかくなる。結合組織性収縮のactive stateについて調べた。さまざまなコリン作動薬を試した結果、ムスカリンによって靱帯は完全に軟らかくなった。そこに高濃度にカリウムを含む人工海水やアセチルコリンを与えると、一過性の収縮反応が見られ、active stateの時間経過が明らかになった。収縮は硬さ変化による受動的なものではなく、能動的なものであることが確立された。 動物個体間のシンクロナイゼーションに関する研究を行った。群体性動物であるホヤを用いて、エネルギー消費量と群体サイズの関係を調べた。シモダイタボヤBotrylloides simodensisは米粒大の個虫が並んで横に広がり、一層の平板状の群体をつくる。群体のエネルギー消費量を酸素消費率(VO_2)によって計り、それが群体の大きさ(湿重量Mw、これは個虫数に正比例する)とどのような関係になるかを調べたところ、 VO_2=0.0412Mw^<0.799> というアロメトリー式が得られた。ベキの数字は、統計的に1とも0.67とも違い、0.75と違いはなかった。個体性の動物では体重の0.75乗に比例することがわかっているが、それと同じ関係が群体性の動物でも得られた。この結果は、サイズ効果は個体性群体性を問わない普遍的なものであることを示唆する画期的なものである。
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