研究概要 |
「電極一細胞間シンクロナイゼーションに基づく細胞内情報ネットワーク制御系の構築」を目的として、電気刺激にシンクロンナイズする細胞内遺伝情報発現系を明らかにした。 神経成長因子(NGF)の分泌を中断している休止状態のグリア細胞を電極表面で培養する。この状態ではNGFの分泌はほとんど認められない。そこで電極に10Hz,200〜300mVの交流電圧を1時間印加し、電気刺激を中止後もさらに培養を継続する。グリア細胞からは徐々にNGFが分泌され、24時間後にはもっとも顕著になることが見出された。しかもNGF分泌の増大は、NGFのmRNAの増大をともなっていることも確認され、NGF遺伝子の転写プロセスの活性化が誘導されたことも明らかになった。 NGF遺伝子の転写因子は、c-junおよびc-fosタンパク質が形成するAP-1複合体であることが知られている。c-fos mRNA発現は電気刺激中止後ただちに極大を示し、減少することが明らかになり、c-jun mRNAおよびNGF mRNAは、c-fos mRNAの減少期に増大することが明らかになった。さらに、protein kinase C(PKC)の発現は電気刺激の印加と同時に誘導されることが確認され、電気刺激にシンクロナイズする細胞内遺伝情報発現が明確になった。
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