分子シンクロ現象のセンシングおよび人工視覚素子の開発

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11167227
• 研究種目: 特定領域研究(A)
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 岩本 光正 東京工業大学, 工学部, 教授 (40143664)
• 研究分担者: 呉 晨旭 東京工業大学, 工学部, 助手 ; 真島 豊 東京工業大学, 工学部, 助教授 (40293071)
• キーワード: 分子シンクロ現象 / 変位電流 / コマンドサーフェス / SHG / 液晶 / オーダパラメータ

研究概要

(1)単分子膜の変位電流とSHGの同時計測技術
マックスウェルの変位電流計測装置にSHG計測システムを組み入れ、これらの信号が同時に計測可能なシステムを構築した。そして、実際に、液晶性5CB単分子膜の変位電流とSHGの測定を行うことができた。また、一軸性分子モデルを基礎として、単分子膜の変位電流ならびに2次非線形性に関する解析を行い、単分子膜では、界面の存在のため分子配向オーダパラメータS_1,S_3が重要であるが、変位電流法ではS_1が、SHG測定ではS_1,S_3が評価可能であることを理論的に明らかにすることができた。また、変位電流とSHGで実際に測定される値は、両者異なることが明らかになり、単純な一軸性分子モデルだけから実験結果を説明できないことも明らかになった。
(2)コマンドサーフェスから液晶への刺激伝達の機構
コマンド液晶セルを試作し、液晶セルの容量および透過率を同時測定を行った。液晶分子のコマンドサーフェスによる制御では、ポリイミドLB単分子膜を下地層として用いると、繰り返し可能な液晶配向制御が可能であるが、3層以上になると配向制御は行うことができないことが明らかになった。さらに、液晶セル内の分子挙動を液晶の弾性体理論と結びつけて説明することができた。

研究成果

• [文献書誌] M. Iwamoto, K. Kato, A. Matsumura, and Y. Majima: "Orientational Transition of P-penty-p'-cyano-biphenyls Triggered by Conformational Change of surface Azobenzene Monolayer"Jpn. J. Appl. Phys.. 38. 572-577 (1999)
• [文献書誌] W.-Zhao, C.X. Wu and M. Iwamoto: "Rate-equation theory of azobenzene monolayer photoisomerization"Chem. Phys. Lett.. 312. 572-577 (1999)
• [文献書誌] W.-Zhao, C.X. Wu, M. Iwamoto and Z.C. Ou-Yang: "Modeling analysis of molecular chiral effect detected by Maxwell-displacement-current measurements"J. Chem. Phys.. 110. 12131-12140 (1999)
• [文献書誌] Y. Sato, C.X. Wu, Y. Majima, and M. Iwamoto: "Analysis of the Dielectric Relaxation Property of Phospholipid Monolayers by Maxwell Displacement Current Measurement"J. Colloid and Interface Science. 218. 118-121 (1999)
• [文献書誌] M. Iwamoto, C.X. Wu, and Z.C. Ou-Yang: "Tilting phase transition of Langmuir monolayers : a competition between steric repulsion and interaction of dipolar molecules with liquid surface"Chem. Phys. Lett.. 312. 7-13 (1999)
• [文献書誌] 岩本光正、真島豊、呉晨旭: "単分子膜の変位電流と分子シンクロ現象を利用した有機素子"光学. 28巻6号. 319-324 (1999)