研究課題/領域番号 |
11167232
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
竹添 秀男 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10108194)
|
研究分担者 |
高西 陽一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80251619)
|
キーワード | スメクチック液晶 / V字型スイッチング / 分極電荷 / 4×4行列法 / 減衰全反射エリプソメトリー / 誘電率 / 界面効果 |
研究概要 |
V字型の電気光学応答を示すスメクティック液晶の層構造について界面のふるまいを中心に研究した。界面と分子の極性相互作用によって生じた分子のツイスト状態に対する分極電荷の効果を検討するために4×4行列法により、透過スペクトルのシミュレーションを行った。この結果、実験で得られている、青色領域で150対1を越すコントラストを実現しようとすると、2ミクロンセルの両界面0.05ミクロンの領域にツイスト領域を押し込める必要があることが分かった。この条件は弾性エネルギーの観点から非常に考えにくいものである。従って、V字型スイッチングを分極電荷の効果のみで説明しようとすることにはやや無理があることが分かった。実験的にはV字型スイッチングは界面に非常に依存するので、界面の様子を詳細に調べてみる必要がある。この目的で減衰全反射法エリプソメトリー測定を行った。この結果、界面もバルクと同様collectiveなスイッチングをしていることが分かった。また、分子はツイスト配向をとっているものの、界面近傍で層がねじれ、ツイスト角を緩和していることが分かった。このため、分子配向はほぼ一様となり、高い暗視野を得ることが出来る。 V字型スイッチングを示す3成分系液晶の特性を調べる目的で誘電率のセル厚依存性を測定した。緩和強度、緩和時間ともにセル厚が厚くなるに従って増加し、50ミクロン程度になっても飽和傾向は現れなかった。これはこれまでの典型的な強誘電性液晶と大きく異なる特性である。この結果の意味するところは未だ明らかではないが、3成分系液晶の特殊性を示すひとつの結果である。
|