ブロックポリマー集積膜による情報応答と触媒機能の制御を試みることを目的として、まずリン脂質の頭部にイニファーターとしてベンジルジエチルジチオカルバメート基を導入した。これを用いて、光照射により生じたラジカルを開始剤とする重合により、ブロック共重合体を頭部に有する新規リン脂質を得ることができた。この脂質は、温度、pH、糖結合タンパク質といった異なる外部情報に対する応答機能を有する高分子鎖を集積した脂質膜を形成することが確認された。さらに、ジスルフィド基を化学結合させたイニファー夕ーを用いて、リビングラジカル重合により外部刺激応答性マルチブロック共重合体を調製し、これを銀コロイドや金電極表面に自己組織化単分子膜として導入した。本科学研究費補助金により購入した電気化学検出器を用いて解析したところ、得られたブロック共重合体は、外部情報に対する応答性を充分に有していた。
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