• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1999 年度 実績報告書

脂質分子協奏作用によるリポソームのトポロジー変換に基づく物質輸送・放出系の創成

研究課題

研究課題/領域番号 11167243
研究機関名古屋大学

研究代表者

宝谷 紘一  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80025444)

研究分担者 瀧口 金吾  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20262842)
キーワードリポソーム / 薬物輸送 / 形態変換 / 界面活性剤 / 脂質分子膜 / 生体膜 / 顕微鏡 / トポロジー
研究概要

我々は生体膜のモデルとしてリポソームを用いて、そのトポロジー変換の分子メカニズムを明らかにし、その機構を利用して、安定性と高機能性をもつ薬物輸送系の創成を試みている。
1,リポソームからの持続的薬物放出
リポソームは形態変化を起こしても表面積は一定である。しかしながら界面舌性剤をリポソームに作用させると、リポソームは球形を維持しながらその大きさを徐々に減少させることがわかった。次に、この持続的縮小の過程をより詳しく観察したところ、緊張期と、揺動期の2つの状態を交互に転移しながら縮小していくことがわかった。
これらの現象を説明するために、以下のようなモデルを提唱した。リポソームの表面積は界面活性剤の作用を受け、常に表面積に比例した速度で減少する。実際の表面積が、その体積に対応する球体の表面積より小さくなれば、膜が張った状態になる。この張力が高まり、ある一定の値を超えると膜に穴が開き、内部の水を放出して体積を減少させる。この時点で、膜の張力は減少し、膜が激しく揺らぐ状態が生じる。この系は持続的薬物放出系としての可能性を持つ。
2,リポソームの内部小胞の直接放出
上記のモデルを支持する現象が、内部に別の小型リポソームが入っているようなリポソームで頻繁に見られた。外側のリポソームの膜が揺動期に入ると内部のリポソームが外に直接放出された。内部小胞が、外側のリポソームと膜融合の過程を経ずに、直接放出されることは極めて新規な現象である。このような小胞放出過程は、エキソサイトーシスとは全く異なった挙動であり、細胞生物学等との関連においても注目すべき膜の特質である。内部リポソーム中の貴重な薬剤を外部リポソームで保護しながら、必要時に内部リポソームを放出する新しい輸送系への発展が期待される。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] H. Hotani: "Giant Liposomes : From Membrane Dynamics to Cell Morphogenesis"Current Opinion in Colloid and Interface Science. (in press). (2000)

  • [文献書誌] M. Honda: "Morphogenesis of Liposomes Encapsulating Actin Depends on the Type of Actin-Crosslinking"J. Mol. Biol.. 287(2). 293-300 (1999)

  • [文献書誌] Y. Suezaki: "A Statistical Mechanical Theory fot the Adsorption of Protein to Liposomal Membranes"Biophys. Chem.. 80. 119-128 (1999)

  • [文献書誌] T. Kaneko: "Morphological Transformation of Liposomes Caused by Assembly of Encapsulated Tubulin and Determination of Shape by Microtubule Associated Proteins (MAPs)"J. Mol. Biol.. 284(5). 1671-1681 (1998)

  • [文献書誌] A. Saitoh: "Opening-up of Liposome Membranes by Talin"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 95. 1026-1031 (1998)

  • [文献書誌] T. Umeda: "Theoretical Analysis of Shape Transformations of Liposomes Caused by Microtubule Assembly"J. Physical Soc. Japan. 67. 682-688 (1998)

  • [文献書誌] 宝谷紘一: "バイオミメティックスハンドブック"株式会社 エヌ・ティー・エス(印刷中). (2000)

  • [文献書誌] 宝谷紘一: "形の科学事典"朝倉書店(印刷中). (2000)

URL: 

公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi