研究概要 |
分子シンクロナイゼーションを示す分子集合体の動的・静的構造を検討するため、それに適した測定・解析システムを構築した。ドイツALV社の動的・静的光散乱装置を導入する一方で、光学系の精度の高いFica社製の静的光散乱装置を改良し、入射光をレーザーに、データ収集系をコンピューター制御とした。小角X線散乱測定装置には、回転陰極型超高輝度X線発生装置((株)リガク、FR-D)とSide by side型多層膜ミラー(Osmic Inc,USA,Confocal Max-Flux Optics)のユニークかつ全く新しい組み合わせの点収束型小角散乱光学系を組み立て、最適な測定条件を検討した。光散乱と小角X線散乱の実測散乱曲線を同一グラフ上で解析できるようになり、階層構造を有する物質の構造解析として有力な測定システムとすることができた。 このシステムを用いて、高度に規則的に分岐した糖鎖側鎖をもつポリマクロモノマーの溶液構造を解析し、その有効性を示した。さらに、分子力学法及び分子動力学法を用いた分子モデリングでポリマクロモノマーの分子構造シミュレーションし、この分子構造から理論散乱曲線を計算し実測値と比較した。この手法により、構造の分子レベルでのビジュアル化にも成功した。 次年度以降において、構築したシステムを用いて分子集合体の特性化を進める。
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