研究概要 |
超格子構造を形成する分子間での情報伝達、エネルギー伝達を効率良く行なう事が可能となり分子シンクロナイゼイション機能による、情報変換と伝達機能を有する分子シンクロデバイスを得る事を目標と位置づけその機能の抽出を行なった。 本報告では、フェニレンオリゴマーヘテロ構造を用いた青色EL素子および亜鉛キノリノール錯体を用いた黄色発光有機ELの高機能化について分子シンクロナイゼーションの観点から検討結果した。 分子線蒸着法により(i)TPD/6P,(ii)α-NPD/6P,(iii)α-NPD/CBP/6Pを積層した3種類の発光素子を作製し、(i)TPD/6P素子では6Pからの423nmに中心を持つ発光が観測され、6P単層を発光層とする素子に比べ約2桁強い、最高輝度3,400cd/m^2が得られた。(ii)α-NPD/6P素子では、青色発光ではあるが447nmに中心を持つα-NPDからの発光が得られ、(iii)α-NPD/CBP/6P素子からもα-NPDからの447nmに中心を持つ発光が得ちれた。6Pは正孔輸送性と電子輸送性のbipolarな電気伝導性を持ち、積層構造により励起子閉じ込めとエネルギー移動の効果による発光の増強効果が得られた。 一方、亜鉛キノリノール錯体(Zn(BQOEH)は346nmに吸収のピークを持ち、フォトミネッセンス及びELスペクトルは564nmにピークを持つ黄色の発光を示す。EL素子構成はITO/α-NPD正孔輸送層/Zn(BQOEH)発光層/Alq_3を電子輸送層の順に積層し、陰極にはMg:Agを用いた。Zn(BQOEH)からの567nmにピークを持つ強い黄色の発光を示し,さらに、30MHzの電流パルスに追随した光パルスを得ることが出来た。エネルギー注入機構の解明と高速応答特性については継続して検討中である。
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