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1999 年度 実績報告書

内分泌撹乱物質等生体関連物質の情報変換・増幅型検出システム

研究課題

研究課題/領域番号 11167255
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

有賀 克彦  奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (50193082)

キーワード脂質二分子膜 / 人工受容体 / 酵素 / シグナル伝達 / 情報変換 / 情報増幅 / シグナル物質 / 阻害剤
研究概要

生体膜上においては、外部刺激に応答するレセプター分子と物質変換的信号増幅を行う酵素がシンクロナイズして働くことによって、外部からのわずかな刺激の入力が細胞内部の多大な情報として出力される。我々は、内分泌撹乱物質等の生体関連物質の高感度検出を目的として、化学合成したレセプター分子と天然の酵素を脂質膜上に集積し、種々の信号入力による酵素活性の制御を検討した。この系では、二分子膜上にコール酸誘導体からなるアミン型レセプターと乳酸脱水素酵素(LDH)が固定されており、後者は銅(II)イオンによって阻害されている。そこに、アルデヒド物質が化学信号として追加されると、シッフ塩基形成による銅(II)イオンの除去で酵素活性が回復する。初期状態として、LDHをCu(ClO_4)_2 (2 μM)によって活性を阻害し、酵素活性を阻害剤を加えないときの15%にまで落とした。ここに、0.030mMのシグナル分子を加えたときには、酵素活性が82%まで復活した。この結果は、化学信号によって酵素活性機能がシンクロナイズして出力されたデバイスが構築されたことを示すものである。さらに、我々は光信号による酵素活性制御デバイスを開発するため、レセプター分子としてアゾベンゼン型のアミン化合物を新たに合成した。シグナル分子(1-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド)をレセプターへ結合させた状態で光異性化を行い、Cu(ClO_4)_2 (2 μM)によるLDH活性の阻害を検討した。その結果、シス体の時には阻害剤非存在時の11%の活性を示すのみであるが、トランス体の場合には96%の活性を得るという劇的な変化を観測することが出来た。つまり、この分子シンクロデバイス系においては、適当な化学信号と光信号が同時に入力されたときにのみ、酵素反応という増幅出力が得られることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Jun-ichi Kikuchi: "An Artificial Signal Transduction System Control of Lactate Dehydrogenase Activity Performed by an Artificial Cell-Surface Receptor"Chem.Lett.. 253-254 (1999)

  • [文献書誌] Jun-ichi Kikuchi: "Signal Transduction Mediated by Artificial Cell-Surface Receptors Activation of Lactate Dehydrogenase Triggered by Molecular Recognition and phase Separation of Bile *** Derivatives Embedded in a Synthetic Biluyer Membrabe"Chem.Commun.. 547-548 (1999)

  • [文献書誌] 有賀 克彦: "静電相互作用の利用:交互積層法-ピンセットとビーカーによるナノタケ層膜の作成-"化学と工業. 52・7. 853-856 (1999)

  • [文献書誌] Jun-ichi Kikuchi: "Control of Enzymatic Activity Cell-Surface Receptors"J.MOl.Catal.B.. (印刷中). (2000)

  • [文献書誌] Kentaro Fukuda: "Dynamic Behavior of Transmembrane Molecular Switch as an Artificial Cell-Surface Receptor"J.MOl.Catal.B.. (印刷中). (2000)

  • [文献書誌] 有賀 克彦: "膜の上で機能を組み合わせる-人工脂質膜のハイブリッド化と新機能・新材料の開発-"現代化学. (印刷中). (2000)

  • [文献書誌] Katsuhiko Ariga: "Sequential Catalysis in Organized Multienzyme Films in "Protein Architecture:Interfacing Molecular Assemblies and Immobilization Biotechnology""Marcel Dekker(New York). 22 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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