研究概要 |
1.単一の空間光変調素子を含む光回路における孤立状態の形成と制御 液晶空間光変調素子を,ダイナミックスを決定する横方向の相互作用を規定する光学系で接続した2+1構造の光回路中にローカット空間周波数フィルタを挿入することにより,孤立輝点の発生を実証した.これは,自己を除く面内近傍で正の相互作用を与えると,空間的に孤立した状態が形成できることを示しており,信号を空間的に記録していることになる.さらに,相互作用を特定の方向に強調すると,その信号を面内で輸送が可能となる.この手法を利用して,画像の記憶・遅延を実行できることを実証した.これに関して,アメリカコロラド州で開催されたOptics in Computingの会議において発表した. 2.集合型非線形光回路における時空間光パターンの発生と制御 単一の空間光変調素子を含む非線形光回路では,液晶の熱的な揺らぎに由来した複数の安定解の競合による,発生パターンの揺らぎが観測されているが,含まれる空間周波数スペクトル幅は狭い.しかし,光フィードバック回路中に複数の空間光変調素子を配置した系では,広い時間・空間周波数スペクトルを含む複雑なパターンを発生することが解った.そこで,特定の空間周波数のみが発生するようにフィルタをかけると,特定の時間周波数のみが現れ,時間と空間で振動する波の発生に成功した.逆に,それは,表現されている時間と空間情報が完全に独立ではないことも示すことになり,任意の時空間パターンを発生するためには,時間と空間で独立に制御できる回路構成が必要となる.これに関しては,神戸開催された応用物理学会で報告した.
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