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1999 年度 実績報告書

昆虫行動の中枢性補償と微小脳システムの可塑性

研究課題

研究課題/領域番号 11168220
研究機関愛媛大学

研究代表者

加納 正道  愛媛大学, 理学部, 助教授 (80183276)

キーワード微小脳 / コオロギ / 空気流感覚 / 尾葉 / 逃避行動 / 巨大介在神経 / 補償作用
研究概要

1・幼虫期からの継続的尾葉切除により生じる巨大介在神経の空気流刺激に対する反応特性の変化
残された尾葉と同側および反対側の腹部神経索内に軸索を走行させる4種の巨大介在神経(GIs8-1,9-1,9-2,9-3)の空気流刺激に対する反応特性を調査した。その結果、例えばGIs8-1においては、成虫脱皮後の反対側尾葉切除によって増加した空気流刺激に対する反応量は、その後正常のものに近づくような補償的変化(反応量の減少)を示す。しかしながら幼虫期から継続的に尾葉切除を受けた個体では、成虫において尾葉を切除された直後のものよりもさらに大きな反応量を示すことが明らかとなった。同様の傾向は他のGIにおいても確認された。つまり、幼虫期からの片側尾葉継続切除は成虫脱皮後の切除とは全く逆の反応量変化を巨大介在神経に引こす場合があることが判明した。もう脱皮の機会のない成虫においては感覚入力の除去に対して神経系の反応様式を元に戻すような補償的変化が起こるが、脱皮の機会の多い幼虫期からの感覚除去に対しては、神経系の反応様式全体を全く異なる形に作り替えるような変化が生じている可能性が考えられる。
2・成虫コオロギの神経機能および発現行動の補償的変化の手がかりとなる入力情報の調査
これまでの研究で、成虫コオロギにおける片側尾葉切除は逃避行動および巨大介在神経の反応性に変化を生じさせるが、それらは1〜数週間の時間経過で補償的変化を示すことが確かめられている。このような補償的機能変化のためには何らかの方法で別経路から正確な空気流情報を得ることが不可欠である。補正のための手がかりとなる情報がどこからもたらされるのかを明らかにするために、片側尾葉切除後の成虫コオロギをほとんど動けない拘束状態で飼育した後、空気流刺激に対する逃避行動を調査したところ、逃避行動の発現率は変わらないが、行動の方向性に対する補償がほとんど生じていないことが明らかとなった。コオロギの微小脳システムは、自分の出した運動出力によって生じるであろう自己刺激入力と実際に経験する自己刺激入力との違いから感覚系の補正を行っているらしい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 加納正道: "The escape behavior of the cricket Gryllus bimaculatus analysed by an air-puff stimulus and its compensational recovery after cercal ablations"Comparative Biochemistry and Physiology. 124A;sup. S113 (1999)

  • [文献書誌] 高梨泰輔: "Functional changes in the cricket giant interneurons after cercal ablations"Zoological Science. 16;sup. 92 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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