研究概要 |
本研究の目標は,微小脳システムにおける学習のメカニズムを,理論モデルを用いて解明することにある.相互抑制結果からなるニューラルネットを取り上げ,そこで,ヘブ学習や反ヘブ学習を適用すると,どのような機能が獲得されるかを検討した. 特に,比較的少数のニューロンからなる神経回路を対象として,動的パターン(特にリズムパターン)の生成・学習のモデルを検討した.動物には,歩行運動,口胃運動などさまざまな振動的な振る舞いが見られるが,それらは,通常,central pattern generator(CPG)と呼ばれる神経回路によって生成されている.CPGは基本的には,比較的少数のニューロンが抑制性シナップスによって結合された,相互抑制形の回路である.そのような回路は,さまざまな動的パターンを発生する潜在能力を持ち,実際の動物実験においても,上位中枢からの信号などの影響を受け,CPGがリズム周波数,振幅,さらにはリズムパターンそのものをも変えることが確認されている. 本年度は,特に,相互抑制形のネットワークにおいて,反ヘブ学習が働くと,安定なリズムを発生する回路が自己組織的に形成されることを示した.
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