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1999 年度 実績報告書

微小脳システムにおける異種感覚選択行動の神経機構

研究課題

研究課題/領域番号 11168234
研究機関福岡大学

研究代表者

横張 文男  福岡大学, 理学部, 教授 (20117287)

研究分担者 西川 道子  福岡大学, 理学部, 助手 (30078563)
キーワード昆虫 / ワモンゴキブリ / 湿度定位行動 / 湿度刺激 / 前大脳側葉 / 中大脳触角葉 / 中大脳背側葉 / 行動解析
研究概要

<行動解析>まず、昆虫は湿度環境を検索し特定の湿度環境に留まる行動を、コンピュータ支援行動解析装置を用いて解析した。実験材料にはワモンゴキブリを用いた。定常的な湿度勾配のある円形のアリーナに4日間無摂水のワモンゴキブリを入れると、装置内の側壁にそって走り回る行動の後、乾環境よりも湿環境に長く滞在するようになった。そのおもな行動学的原因は、湿環境では乾環境での行動と比較して、1)空間的な移動を伴わない行動が増加すること,2)歩行速度が低下すること、3)歩行と曲がり(deg/cm)が増加することにあることがわかった。次に摂水場所に到達する行動について解析した。片方の側路の先端に水を、もう一方の側路の先端に乾燥剤を置いたT字型の行動選択装置にワモンゴキブリを入れ、行動を観察した。行動の基本的パターンは歩行と立ち止まり行動の繰り返しなので、立ち止まり行動とその後の歩行の進行方向に着目して解析した。立ち止まり行動では、頭部を振る行動と頭部は固定し触角だけを振る行動が見られた。4日間無摂水のワモンゴキブリでは、水のある側路を選択する確率が高かった。初動から水のある側路を選択したものでは、しなかったものと比べ、初回の立ち止まり行動の中で頭部を振る行動の占める割合は高いなどの結果が得られた。摂水場所を発見し到達するまでの行動は、先ず1)高湿度を検出して立ち止まり、2)立ち止まったまま、触角と首を振って湿度勾配を検出(水のある方向を検出)し、3)より高湿度側に向かって歩行することの連続的な行動で組み立てられていることがわかった。
<生理・形態学的解析>触角からの情報は中大脳を経て全大脳キノコ体と側葉に送り込まれる。その経路について調べた。中大脳から全大脳への経路であるACT-IIIを通る中大脳投射ニューロンの1つのタイプでは、背側葉と後大脳から入力を受け、軸索はACT IIIを経由して、キノコ体α葉の後方に短い側枝を出しながら前大脳側葉の前方と側方に終末していた。側葉での終末部域はおもに匂い情報を運ぶ単一糸球体投射ニューロンの終末部域と異なり、入力部域も背側葉と後大脳であることから、このニューロンは機械感覚情報の経路になっていると推測される。このニューロンはキノコ体傘部には側枝を出していなかった。キノコ体傘部は、中大脳投射ニューロン軸索の終末形態からおよそ3層(周縁部・中層部・基部)に分けられ、触角葉からの投射ニューロンで、IACT、ACT IIを通るニューロンの大部分は周縁部と中層部に終末し、ACT IVを通るニューロンは基部に終末するものが観察された。これらの結果は、前大脳側葉でもキノコ体でもニューロンのモダリティや機能と関連した部域性を示唆している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Makoto Mizunami: "Exploration into the adaptive design of the arthropod "microbrain""Zool.Sci.. 16. 703-709 (1999)

  • [文献書誌] Taichi Ifuku: "Behavioral analysis of humidity orientation in the cockroach,Periplaneta americana"Comp.Biochem.Physiol.. 124A. 133-133 (1999)

  • [文献書誌] Michiko Nishikawa: "Topography of the antennal afferent pathways in the brain of the insect"Comp.Biochem.Physiol.. 124A. 133-133 (1999)

  • [文献書誌] Michiko Nishikawa: "Central projections of the antennal sensory neurons on the cockroach brain"Chemical Ecology. 1. 109-110 (1999)

  • [文献書誌] Masayuki Iwasaki: "Ultrastructural analysis of modular subunits in the mushroom bodies of the cockroach"J.Electron Micro.. 48(1). 55-62 (1999)

  • [文献書誌] Masayuki Iwasaki: "Fine structure of modular subunits in the mushroom bodies of the cockroach"Comp.Biochem.Physiol.. 124A. 133-133 (1999)

  • [文献書誌] Fumio Yokohari: "Atlas of arthropod sensory receptors(分担:Hygro-and thermoreceptors)"Springer Verlag. 220 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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