研究課題/領域番号 |
11168234
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
横張 文男 福岡大学, 理学部, 教授 (20117287)
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研究分担者 |
藍 浩之 福岡大学, 理学部, 助手 (20330897)
西川 道子 福岡大学, 理学部, 助手 (30078563)
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キーワード | 昆虫 / ワモンゴキブリ / 触角 / 湿度感覚 / 温度感覚 / 中大脳触角葉 / 前大脳側葉 / 前大脳キノコ体 |
研究概要 |
<中大脳触角葉と背側葉のニューロパイル構築>触角神経は中大脳への入り口でいくつかの感覚ニューロンの軸索からなる束(経路)にわかれ、中大脳の部域毎に分かれて入力する。触角葉へは8経路(T1-T8)があり、それぞれの経路の軸索は10〜20の糸球体に終末する。背側葉へは5経路(T9-T13)があり、それぞれ特徴的な軸索の分枝が見られ、規則的な分枝パターンを持つ機械感覚のsomatotopic mappimgを示唆する経路もあった。 <棘状感覚子ニューロンの中枢投射>触角の数種類の棘状感覚子からの中枢投射を調べた結果、触角葉糸球体に終末する軸索と背側葉・食道下神経節に終末する軸索が観察された。ほとんどの棘状感覚子は味細胞と機械感覚細胞を含んでいるので、観察された軸索がどちらの細胞のものかを断定できなかった。 <湿度・温度感覚情報の脳内処理経路>中大脳から前大脳へ湿度・温度情報を運ぶ投射ニューロンを5種類同定した。冷受容細胞軸索が投射する糸球体に樹状突起を持つ投射ニューロンについては2種類が同定された。1)細胞体は中大脳側方前方にあり、軸索はIACTを経由してキノコ体傘部と側葉に終末する。2)細胞体は中大脳側方後方にあり、軸索はACT IVを経由してキノコ体には側枝を延ばさず側葉に終末する。湿受容細胞軸索が投射する糸球体に樹状突起を持つ投射ニューロンの軸索は、これまでに報告のない前大脳腹側の経路を通り、キノコ体傘部と側葉に終末する。乾受容細胞軸索が投射する2個の糸球体に樹状突起を持つ投射ニューロンは、細胞体を中大脳背側後方に持ち、軸索はキノコ体柄部背側に沿って上行し、キノコ体傘部と側葉に終末する。乾・湿受容細胞軸索が投射する3個の糸球体に樹状突起を持つ投射ニューロンは、細胞体を中大脳背側後方に持ち、軸索はキノコに側枝を延ばさず、側葉に終末する。これらの投射ニューロンの軸索の側枝や終末部域は共通していることから、湿度と温度情報は同じような処理経路を辿ると考えられる。
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