研究概要 |
平成11年度は,ヒト組換え型2-5A合成酵素の発現の検討およびヒト組換え型リボヌクレアーゼL(2-5A依存型リボヌクレアーゼ)の発現と結晶化条件の検討を行った.2-5A合成酵素については,大腸菌で発現させると封入体を形成したため,昆虫細胞で発現させるべく,組換えウィルスを作製中である.組換え型リボヌクレアーゼLも,大腸菌発現系を用いた場合,ほとんどが封入体として存在し,機能を維持した状態で可溶化できないことが判明した.そこで,発現タンパクの溶解性を高めることを目的にグルタチオンSトランスフェラーゼ融合酵素およびマルトース結合タンパク酵素を発現した.しかし,いずれの場合も溶解性は改善されなかったため,培養温度を下げることで発現タンパクの溶解性を改善した.次に,発現効率を上げることを目的として,発現プロモーターの検討を行った.プロモーターはlacとT7の2種を検討したが,一般に高効率と言われるT7では,リボヌクレアーゼLの発現はほとんど認められなかった.以上により,リボヌクレアーゼLの大量発現系を最適化した.精製したリボヌクレアーゼLについては,現在結晶化条件を検討中である. また,リボヌクレアーゼLは2つの機能ドメインに分けられることから,それぞれの機能ドメインの発現系を構築した.カルボキシ末端側ドメインについては,精製方法を検討中であるが,2-5Aを結合する機能を持つアミノ末端側ドメインについては,非融合型タンパクの精製方法を確立した.精製酵素を用いて結晶化条件を検討した結果,本ドメインの結晶を得ることができた. なお,本実験に関する結晶化実験は全て昭和大学薬学部の田中信忠先生との共同研究で行った.
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