Free-R因子を上げずにより詳細な蛋白質モデルを構築するための結晶構造精密化法

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11169221
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 木寺 詔記 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00186280)
• キーワード: X線結晶構造解析 / 精密化 / Free-R因子 / S / N比 / 温度因子 / 基準振動精密化

研究概要

分解能に限界のあるX線結晶解析データーを用いながらも、より詳細な蛋白質モデルを構築し、可能な限り多くの情報を結晶構造から取り出す方法を開発することが目的である。モデルを詳細にすることは、多くの場合回析データに含まれるノイズへのバイアスを引き起こし、Free-R因子を上昇させることになる。そこで、Free-R因子を上昇させることなしに、詳細な蛋白質モデルを構築する方法を開発した。本年度は、(1)水素原子を周辺原子の座標値を使ってrigid bodyとして発生する、(2)
基準振動による温度因子計算法を用いる、という考え方で、原子分解能のデータに対応するが、モデルのパラメータ数はまったく増えないという精密化法を開発した。これによって、解析のS/N比に対応する(回析点の数)/(モデルのパラメータ数)を従来法に比べ、格段に増大させることが可能となり、モデルの信頼性をはるかに高めることに成功した。

研究成果

• [文献書誌] K. Mitsuoka, T. Hirai, K. Murata, A. Miyazawa, A. Kidera, Y. Kimura, Y. Fujiyoshi: "Charge distribution in the refined structure of bacteriorhodopsin based on electron crystallography"J. Mol. Biol.. 286. 861-882 (1999)
• [文献書誌] A. Kidera: "Smart Monte Carlo simulation of a globular protein"Int. J. Quantum Chem.. 75. 207-214 (1999)
• [文献書誌] F. Parak, A. Ostermann, A. Gassmann, C. Scherk, S. H. Ching, A. Kidera, N. Go: "Biomolewles : Fluctuations and relaxations""Biological Physics : Third International Symposium", AIP Conference Proceedings. 487. 117 (1999)
• [文献書誌] N. Nakajima, J. Higo, A. Kidera, H. Nakamura: "Free energy landscapes of short peptides by enhanced conformational sampling"J. Mol. Biol.. 296. 197-218 (2000)