研究概要 |
「生物マシーナリー」の特性を解明するために、独自の触媒能を持つサブユニットが複合体形成に伴い大幅な活性増幅を示すトリプトファン合成酵素を取り上げた。具体的には、超好熱菌、Pyrococcus furiosus,由来のトリプトファン合成酵素複合体とその構成成分δとβサブユニットのX線結品構造解析を行う。超好熱菌αサブユニットは大腸菌にクローニングして、大腸菌を培養、精製することによって純品を得た。Crystal Screen(II)(Hampton Research社)のNo22を用いて、蒸気拡散法で数日後に良好なαサブユニットの結晶を得ることがでた。αサブユニットの濃度は10-15mg/ml(20mM Acetate buffer,pH4.6)であった。測定は筑波のPFで、分解能2.0Å以上のデータを得てた。結晶の空間群はC2221であり、格子定数は73.093,78.972,170.907であった。位相決定は水銀と白金の誘導体を用いて重原子同型置換法で行い、構造はモデリング、リファインメントを進め最終的には分解能2.0A^^○の解析に成功した。フリーR因子は28.0%,R因子は20.0%であった。構造解析の結果、多くの塩結合の存在が碓認された。塩結合の存在は、多くの超好熱菌由来蛋白質の特微で、αサブユニットも塩結合によって熱安定化を獲得していることを示唆した。更にDSCによる熱測定の結果、本蛋白質はエンタルピー項によって高い熱安定化を獲得していることが分かった。この構造と熱力学的データを基に高い熱安定化のメカニズムの解明が期待できる。トリプトファン合成酵素βサブユニット及び同複合体の精製法を確立し現在結晶化が進められている。
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