中度好熱菌Bacillus stearothermophilusリボソームタンパク質、特にリボソームRNA結合タンパク質(5SrRNA結合タンパク質:L5、L18;16SrRNA結合タンパク質:S4、S7;23SrRNA結合タンパク質:L2、L3、L4、L23)に着目し、これらの遺伝子のクローニングと大腸菌内での発現、さらにタンパク質S7、L2(RNA結合ドメイン)およびL5の結晶構造解析を終了した。以上の研究成果より、リボソームタンパク質S7は、細菌DNA結合タンパク質HUと、L2は真核生物のオリゴヌクレオチド結合タンパク質と、さらに、L5はスプライセオゾームを形成するU1タンパク質と、高次構造の相同性を持つことが明かになった。これらの類似性については、各タンパク質のアミノ酸配列の比較では明かではなかったことで、これらの高次構造より判明した事実は、各リボソームタンパク質と各相同タンパクは、共通の祖先型遺伝子から派生していることを示唆した。また、S7の16SrRNAとの相互作用に関与するアミノ酸残基を、遺伝子工学的手法を用いて特定し、S7と16SrRNAとの相互作用機構のモデルを提唱した。
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