昨年度までに、リボソームタンパク質BstL5と5S rRNAとの相互作用機構を明らかにするため、5S rRNAとの結合に関与するアミノ酸を特定するとともに、その役割について解析した。その結果、βシート上のアミノ酸はL5とRNAとの複合体の安定化に貢献していること、一方、ループ上のアミノ酸はRNAの認識に関与していることが明らかになった。 本年度では、BstL5のRNP2領域(Glu-^<32>-Lys-Ile-Val-Ile-Asn-Met^<38>)に無作為に変異を導入し、ファージ提示法によりRNA結合能を維持した変異タンパク質BstL5を選択することにより、RNP2のアミノ酸残基の重要性を検討した。変異体L5遺伝子は(VNN)7を含むプライマー(72mer)を用いたPCRにより作成し、ファージミドpLUCK2000を用いたファージ提示法でRNA結合能を保持した変異体を選択した。その結果、野生型と同程度の結合活性を持っ11個の変異体が選択され、その内7種は33位にLysもしくはArg、37位にAsnを持つこと、また34〜36位に疎水性アミノ酸が位置していることを見出した。以上の結果より、33位の塩基性アミノ酸と37位のAsn、その間の3残基の疎水性アミノ酸が、RNP2のRNA結合活性に重要であることが示唆された。
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