研究概要 |
本特定研究の課題における我々の研究課題は複数の反応中心をもつ可溶性フラビン酵素を2つ取り上げ、その構造と電子伝達について系統的な理解を得る事である。ひとつは、尿酸代謝や活性酸素生成酵素として重要なキサンチン脱水素酵素である。それは、複合反応中心としてモリブドプリテン、2個の非へム鉄、フラビンを有する2量体分子で、分子量30万の巨大酵素であり。もうひとつは、木材の分解などセルロース分解系に働く環境的に重要な酵素セロビオース脱水素酵素で、b-typeヘム、フラビンをもつ。今年度は進行中であったミルクキサンチン脱水素酵素の単結晶が結晶化条件に工夫を加えたため異なった晶型で得られ、2.1Åの分解能で構造が解けた。結晶構造は以前より予想していた通り非ヘム鉄ドメイン、フラビンドメインとモリブドプテリンドメインからなりサブユニット二つがモリブデンドメインを蝶番として羽を開いたバタフライ状を示していた。電子伝達経路としては、補欠族、Mo,2Fe-2SI,sFe-2SII,FADが相応な距離で直線状に存在した。これらの知見は今までの我々の研究における、多くの本酵素の機能解析の結果を裏付け、理解を深めた。フラビン周囲に脱水素酵素に特徴的と思われるアミノ酸残基を構造から予知出来たので、それらの部位特異的変異体を作成中である。また、現在ラット肝キサンチン脱水素酵素の単結晶が得られたので、更に条件を整えてXー線結晶解析に適した大きさの結晶を得るべく検討中である。
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