研究課題/領域番号 |
11169232
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
小田 順一 福井県立大学, 生物資源学研究科, 教授 (50027041)
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研究分担者 |
日び 隆雄 福井県立大学, 生物資源学部, 講師 (00285181)
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キーワード | グルタチオン / フィードバック阻害 / γ-グルタミルシステイン合成酵素 / グルタミン酸脱水素酵素 / 多波長異常分散法 |
研究概要 |
本研究では、グルタチオンの合成を制御するキーとなる大腸菌由来γ-グルタミルシステイン合成酵素(GCS)およびグルタミン酸脱水素酵素(GLDH)について、X線結晶構造解析によって構造を明らかにし、酵素レベルでのフィードバック制御やアロステリックな調節に基づいたグルタチオン合成代謝系制御の分子機構の解明を目指した。 GCSについては、真核生物由来の酵素の場合と同様になんらかの活性調節因子が酵素分子表面にあるシステイン残基と反応し、それによってグルタチオンによるフィードバック阻害が制御されている可能性について検討するため、表面システイン残基をセリンに系統的に置換した変異体を作成し、その酵素化学的・生化学的性質について検討を行った。その結果、グルタチオンによるフィードバック阻害制御には直接関与しないこと、従って異なるフィードバック阻害機構が存在することが示唆された。一方、既にnative GCSの結晶化には成功しており、さらに位相決定のための重原子誘導体結晶の作成を行った。Methionine pathway inhibition methodを用いてSeMet変異体を作成し、シッティングドロップ法によるその結晶化に成功した。そこで、Spring8のビームラインBL41XUにおいてMAD解析を行うための回折データの収集を行った。得られた回折データについては現在解析中である。 GLDHに関しては、ハンギングドロップ法を用いて結晶化条件の検討を行った。結晶化剤として硫酸アンモニウムを用いてglutamate-NADH-GLDH複合体結晶が、PEGメチルエーテル5000を用いて2-oxoglutarate-NADH-GLDH複合体結晶が得られた。特に後者の複合体に関してはこれまでに結晶化が報告された例はなく、本酵素の構造変化と機能の関係について新たな知見が得られるものと期待される。
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