研究概要 |
チトクロム酸化酵素は酸化還元中心を介した電子伝達機能、酸素還元反応及びミトコンドリア内膜を越えるプロトンの輸送機能を持つ。これらの細胞呼吸において重要な機能を解明するためにこれまでに分光学的手法、生化学的手法を用いて多くの研究がなされてきたが分子機構の詳細については未だ不明の点が多い。我々はウシ心筋酵素の結晶化に成功し、X線結晶構造解析を進め完全酸化型、完全還元型、一酸化結合型の2.3,2.35,2.8A分解能での構造を報告してきた。本研究では、完全酸化型の2.0A分解能での構造を決定した。これにより、酸素還元中心の詳細な構造、固定された水分子、酵素に結合した脂質分子(酵素1分子あたり14分子)の詳細な構造など数多くの新たな知見が得られた。また、反応機構を理解する上で不可欠な反応中間体の立体構造を明らかにするために結晶を反応溶液中に浸し、吸収スペクトルを追跡できるシステムを開発した。これにより、結晶を凍結することにより反応中間体を捕捉することが可能となり、Sprig-8においていくつかの結晶の回析データの収集を行った。
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