研究概要 |
古細菌スルホロバスのコハク酸脱水素酵素複合体は、4つのサブユニットSdhA,B,C,Dからなり、高い耐熱性を有する。本研究では、古細菌型コハク酸脱水素酵素複合体の構造機能解析を目的として、以下の研究成果を得た。 (i)全遺伝子配列決定と各サブユニットの系統解析から、SdhA,Bがミトコンドリア・真正細菌型であり、SdhCがメタン菌フマル酸:チオール酸化還元酵素サブユニットのホモログ、SdhDが新規タンパクであることを見出した。 (ii)sdhA-D,sdhAB,sdhB,sdhC,sdhD遺伝子の大腸菌発現系をそれぞれ構築した。その結果、SdhCについては大量発現に成功し、さらにEXAFSおよび共鳴ラマン解析から、鉄および亜鉛を結合すること、少なくとも新規[2Fe-2S]クラスターを有することを見出した。また、EPR解析からSdhCに異方性の高いラジカル中心を見い出したが、同定には至っていない。SdhCは立体構造未知なため、発現酵素を用いた結晶化に着手した。 (iii)sdhB遺伝子全長を含むコンストラクトは全て封入体となり、これはシャペロニンGroELSやチオレドキシンとの共発現系によっても状況が改善されなかった。 本研究の成果は論文として発表した他、1報投稿中である。また、本課題と関連し、他の酸化還元酵素についても、EPR・EXAFSによる解析を行い、論文として発表した。今後はsdhA-D遺伝子の大腸菌発現系改変を試みるとともに、SdhCの結晶化・機能解析を引続き行う予定である。
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