フォトンファクトリーにおける生物マシーナリー研究のためのより効率的な放射光利用法

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11169241
• 研究機関: 高エネルギー加速器研究機構
• 研究代表者: 鈴木 守 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (40280507)
• 研究分担者: 上久保 裕生 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (20311128) ; 五十嵐 紀之 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (80300672)
• キーワード: タンパク質結晶学 / シンクロトロン放射光

研究概要

本研究班では効率的な放射光利用のために回折データ収集の自動化をフォトンファクトリーにおいて達成することを目的とした。
昨年度の予算により、ADSC社のQuantum4R CCD検出器を購入し、本年度、検出器の制御装置を購入した。これまでにのべ107グループの大学の研究者と約10社の企業により実験が行われ、良好な結果を得ている。特に亜鉛、セレン、白金を異常分散原子とした多波長異常分散法による実験により計算された電子密度は非常に良好で、精密構造解析に十分なデータの精度であることが示された。同様の実験はイメージングプレートを使った旧システムにおいても可能であったが、本システムの導入より測定の自動化が達成され、1)回折データ自動収集中のイメージ処理、2)重原子の位置決定・位相計算が可能となり、実験結果(結晶中の重原子の有無、結晶の品質)を回折実験に即座にフィードバックできる環境が構築できた。これは多数の新規構造解析を行う必要がある生物マシーナリー研究において威力を発揮しつつある。将来的には、結晶マウントから構造解析までを自動で行う全自動構造解析システムの開発を目指しており、CCDシステムの導入はその第一歩となる。

研究成果

• [文献書誌] T.Oka: "Time-resolved x-ray diffraction reveals multiple conformations in the M-N transition of the bacteriorhodopsin photocycle."Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 97. 14278-14282 (2000)
• [文献書誌] R.Kato: "Observation of RecA protein monomer by small angle X-ray scattering with synchrotron radiation."FEBS Lett.. 482. 159-162 (2000)
• [文献書誌] M.Kataoka: "Structures of photointermediates and their implications for the proton pump mechanism."Biochim.Biophys.Acta. 1460. 166-176 (2000)
• [文献書誌] H.Seto: "Pressure and temperature effects on the phase transition from a dense droplet to a lamellar structure in a ternary microemulsion."J.Chem.Phys.. 112. 10608-10614 (2000)
• [文献書誌] T.Konno: "A partially unfolded structure of the alkaline -denatured state of pepsin and its implication for stability of the zymogen -derived protein."Biochemistry. 39. 4182-4190 (2000)
• [文献書誌] T.Sato: "Enhancement in the perfection of orthorhombic lysozyme crystals grown in a high magnetic field (10 T)."Acta Cryst.. D56. 1079-1083 (2000)
• [文献書誌] N.Igarashi: "Hydroxylamine oxidoreductase. in Handbook of Metalloproteins."John Wiley and Sons, Ltd.(in press). (2001)