研究概要 |
SPring-8タンパク質結晶解析共用ビームライン(BL41XU)は,光源とするアンジュレータの高輝度・高エネルギー特性により,複合体型および集合系型生物マシーナリーを研究する上で最も有効な手段となる.生物マシーナリーの研究では結晶試料のX線回折強度測定に様々な困難を伴うため,本年度はBL41XUの実験ステーションに設置されている自動回折計の各種機能を強化してSPring-8における生物マシーナリー研究の効率化をはかった. 生物マシーナリーの研究では,サイズが小さく格子定数の長い結晶を対象とする.そこでまず第一に,10ミクロン程度の微小結晶試料による構造解析を可能とするために,試料に照射するX線を微小化する「MIROAS回折X線導入装置」を開発した.本装置は順調に稼動しており,別に導入したCCD検出器と組み合わせて,すでに多くの構造生物学研究に利用されている. 生物マシーナリーの内集合系型マシーナリーでは,系を構成する多数のタンパク質の構造を迅速に決定する必要がある.この目的を達成するために「半導体検出器」を導入してMIROAS回折計の吸収端測定系のエネルギー分解能を改善した.本検出器の導入によりBL41XUにおける吸収端測定範囲を拡大することができた. 複合体型マシーナリー研究では特に格子定数の大きな結晶を対象とする.この場合大面積のイメージングプレート(IP)検出器が重要となるが,そのための「レーザー発振器」を強化した.また大形のIPを利用すれば大容量のデータ蓄積が必要となるため「データ蓄積用ディスク」を導入して実験環境の整備を行った.
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