研究概要 |
好熱性らん藻、Synechococus vulcanusより光化学系II(PSII)複合体を精製し、結晶化した。得られた結晶について、SPring-8の放射光を用いて、低温(100K)でのデータ収集条件を確立し、分解能4.0Åでのネーティブデータセットを収集した。それによって決定した結晶の晶系はOrthorhombicで、空間群はP2_12_12_1、格子常数はa=130Å,b=227Å,c=308Åであった。X線波長1.0Å、振動角1度にて得られた測定反射数189881に対し、独立反射数67845であり、Rmerge7.3%(再外周4.13-4.0Å、24.1%)、Completeness87%(再外周、82%)であった。数種の重原子同型置換体を作製し、そのデータを収集し、計算した結果、同型性が保たれている置換体を2-3種得た。一方、結晶の生化学的性質を調べた結果、結晶はPSIIの主な構成成分である、9-10種の膜蛋白質と3種の膜表在性蛋白質を含んでおり、高い酸素発生活性を保持していた。ゲル濾過によって決定した結晶中のPSII複合体の分子量は580kDaであり、単量体PSIIの分子量が310kDaであることから考えると、結晶中のPSIIはダイマーであることが示された。従って単位格子中に含まれているPSII複合体は8個であり、結晶のV_Mは3.6Å^3/Daであることになる。
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