• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1999 年度 実績報告書

中枢神経回路形成期におけるシナプス競合および脱落のメカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 11170240
研究機関九州大学

研究代表者

鍋倉 淳一  九州大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50237583)

キーワードグリシン / 伝達物質 / GABA / 神経回路活動 / 聴覚 / 外側上オリーブ核
研究概要

脳の発達の最終段階において、いったん形成された神経連絡網の多量の脱落が観察される。この神経細胞死を伴わないシナプスの脱落過程は"synapse elimination"と呼ばれ、中枢から末梢までの神経系の殆どすべての部位で観察される。しかし、現在の培養系技術ではこの現象を再現できないため、中枢性シナプスを用いた細胞レベルでのメカニズムの解明に大きな躍進が見られないのが現状である。また、中枢および末梢を問わずsynapse eliminationのメカニズムは興奮性シナプスにおいてのみ研究されており、抑制性神経回路については世界的に全く行われていない。抑制性シナプスの脱落については"神経前終末の活性化による後細胞活動上昇によって引き起こされるシナプス競合および脱落"という興奮性回路のメカニズムは生体内でおこる抑制シナプスの可塑的変化のメカニズムとして単純に受け入れにくい。
そこで聴覚系外側上オリーブ核に入力する抑制性回路を用いて、神経活動による抑制性神経回路機能の発達制御を検討した。この核の主要伝達物質であるグリシンに対する神経細胞応答は、2種類のCl^-トランスポーター(KCCとNKCC)機能の発達変化による細胞内Cl^-濃度の低下に起因して、興奮性から抑制性に変化する。この変化は聴覚入力を遮断すると抑制される。また、この核に入力する主要抑制性伝達物質はGABAからグリシンに発達変化する。これも聴覚入力遮断により妨げられる。つまり、この核における抑制性伝達物質およびその応答は聴覚によって駆動される神経回路入力活動によって制御されていることが判明した。現在、GABAからグリシンに変化するメカニズムとして、1)単一神経終末内の伝達物質がGABAからグリシンに変化するのか、または2)GABA作動性入力の脱落とグリシン作動性終末の入力を検討中である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Furukawa,Okada,Akaike,Hayashi,Nabekura: "Reduction of voltage dependent Mg^<2+> block of NMDA receptor mediated response after in vivo axonal injury"Neuroscience. (印刷中).

  • [文献書誌] Uchida,Akaike,Nabekura: "D_2 Dopamine Receptor activation of inward rectifying K^+ channel in rat substantia nigra neurons"Neuropharmacology. 39. 191-201 (2000)

  • [文献書誌] Noda,Nakanishi,Nabekura Akaike: "AMPA-Kainate subtype of glutamate receptor in rat cerebral microglia"Jouranl of Neuroscience. 20. 251-258 (2000)

  • [文献書誌] Omura,Nabekura,Akaike: "Intracellular pathways of V_1 and V_2 receptors activated by arginine vasopressin in rat hippocampal neurons"Jouranl of biological Chemistry. 274. 32762-32770 (1999)

  • [文献書誌] Kakazu,Akaike,Komiyama,Nabekura: "Regulation of Intracellular Cl by cotransporters in developing lateral superior olive neurons"Journal of Neuroscience. 19. 2843-2851 (1999)

  • [文献書誌] Nabekura,Xu,Rhee,Li,Akaike: "Alpha2 adrenoceptor mediated enhancement of glycine response in rat sacral commissural Neurons"Neuroscience. 89. 29-41 (1999)

URL: 

公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi