研究課題/領域番号 |
11170245
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
西 真弓 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (40295639)
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研究分担者 |
森田 規之 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (50239662)
小澤 一史 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (60169290)
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キーワード | FRET / 転写因子 / 蛋白-蛋白相互作用 / 初代培養神経細胞 / 核内レセプター / リアルタイムイメージング / CFP / YFP |
研究概要 |
ステロイドホルモンが神経系細胞の発生、分化、機能発現に際して様々な影響を及ぼすことが知られている。こうした作用の大部分は、zinc-fingerモチーフを有する転写因子であるステロイドホルモンレセプターを介した遺伝子発現制御に基づく。リガンド結合したステロイドホルモンレセプターは、通常ホモダイマーを形成して基本転写装置とともに巨大な複合体を染色体上に構築するが、この際、ステロイドホルモンレセプターと基本転写装置との間を介在するいわゆる共役転写因子(cofactor)の存在が必須であることがわかってきた。 初年度は、ステロイドレセプターと共役転写因子との相互作用ならびに異なるステロイドレセプター間のへテロダイマー形成の可能性を蛍光のエネルギー移動(fluorescent energy transfer(FRET))により解析するための基礎的検討を行った。グルココルチコイドレセプター(GR)およびミネラルコルチコイトドセプター(MR)と各々異なる色の蛍光を発する改変型GFPのcyan fluorescent protein(CFP)およびyellow fluorescent protein(YFP)との融合蛋白を培養細胞に共発現させ、共通のリガンドであるコルチコステロン(CORT)のレセプターの核_細胞質間輸送に対する影響をみた。核内移行速度は内因性のレセプターをもたないCOS細胞ではCORTに対する親和性の差を反映していたが、内因性のGRおよびMRが共発現する海馬の培養神経細胞ではCORTに対する親和性を反映した核移行速度の差は認められず、異なる核輸送の機構が存在する可能性が示唆された。また、GRとCFPおよび共役転写因子のsteroid receptor cofactor-1(SRC-1)とYFPの融合蛋白を同一細胞に共発現させ、その動態をリアルタイムに解析した。SRC-1はリガンドの存在の有無にかかわらず核内に局在するが、その存在様式はリガンドの添加によりGRが核内に移行する前後で、ドット状の分布から網状の分布へと変化することが観察され、核内においてGRと挙動を共にするように分布状態が変化することが示唆された。
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