研究課題/領域番号 |
11170249
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
石黒 啓司 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教授 (20211039)
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研究分担者 |
山田 晃司 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 研究員 (60278306)
西井 一宏 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 研究員 (50278305)
澤田 浩秀 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助手 (30247663)
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キーワード | ハンチントン病 / ハンチンチン / IT-15遺伝子 / 神経細胞死 / ポリグルタミン / アストロサイト / モザイク化 / CAGリピート |
研究概要 |
ハンチントン病(HD)は疾患責任遺伝子(IT-15)のエクソン1にあるCAGリピートの伸長が原因と考えられている。我々の作製したハンチントン病モデルマウスは、77CAGリピートを持つIT-15のエクソン1をマウスエクソン1と置き換えることで作製した。よって、ゲノム遺伝子構造と発現しているハンチンチン蛋白質は、ハンチントン病患者と極めて類似している。このマウスを長期観察したところ以下の点が明らかになった。(1)マウス脳組織9分割と14末梢組織のCAG不安定性を検討したところ、小脳を除く脳組織全体の体細胞遺伝子でCAGの伸長化が観察された。特に線条体では早期からこの現象が観察された。(2)ヒト死後脳を用いた(1)と同様の検討を行なったところ、極めて類似の結果を得た。(3)アストロサイトの蛋白マーカーを検討したところ、このマウスは生後約40週令で活性化アストロサイトがコントロールに比べて増加しており、ハンチントン病患者の病態変化の一部と類似していた。しかし、ハンチンチンとユビキチンの免疫組織染色を行なったところ、神経核内にはハンチントン病で見られる沈着物は観察されなかった。また、チロシン水酸化酵素を持つドーパミン神経に関しても異常は観察できなかった。TUNEL実験の結果とヘマトキシン-エオジン染色においても神経細胞死の病理像は観察されなかったことから、このモデルマウスでは神経細胞死のカスケードが激しく変動しているとは考えにくい。今後、ヒトとマウスの中枢神経におけるポリグルタミンの挙動の違いを明らかにすることで、ハンチントン病の神経細胞死の分子構造を解明していく。
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