研究課題/領域番号 |
11173101
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
前川 禎通 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (60005973)
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研究分担者 |
内田 慎一 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究所, 教授 (10114399)
山田 和芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (70133923)
永長 直人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60164406)
小菅 皓二 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00025371)
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キーワード | 遷移金属酸化物 / 高温超伝導 / スピン / 軌道 / 量子現象 / クーパー対 |
研究概要 |
遷移金属酸化物では電子の持つ内部自由度であるスピンと電荷が一旦分離した後お互いに作用を及ぼし合うことにより多彩な物性が現れる。さらに、電子空間での広がりの対称性(軌道)がこれらの自由度と結合し、多くの量子状態(相)の競合が見られる。本領域研究の目的は、電子の持つ内部自由度である電荷、スピン及び軌道に着目し遷移金属酸化物の示す新しい量子現象を引き出し、その磁性と伝導に関する物性科学を完成させるとともに、21世紀の科学技術の基礎を築こうとするものである。 本領域研究の初年度であるため、まず研究チーム間の研究協力が有効に行えるための体制を確立した。その上で、物資創製班により作製された多くの良質の結晶を用いて次の新しい量子現象が明らかにされた。 (i)当メンバーにより発見されたSr_2RuO_4の超伝導がスピン三重項のp-波クーパー対によることが証明された。これはCu酸化物高温超伝導体のスピン一重項のd-波クーパー対とは対称的であり、従って、高温超伝導の発現機構解明にとっても重要な成果である。(ii)YBCO型Cu-Ru酸化物系のEuSr_2RuCu_2O_8において、RuをNbで置換した物質が合成され、超伝導と強磁性が共存することが明らかになった。この物質も高温超伝導の発現機構解明のための重要な知見を与えるとともに、超伝導と強磁性の競合に関する研究にとって、多くの情報を与えると期待される。
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