研究課題
特定領域研究(B)
当研究課題では、モンスーンアジア地域における、陸面-大気相互作用を、1次元のフラックスに関する研究、メソスケールモデルを用いた大気と陸面の相互作用の研究、そして、これらの研究の成果を取り込んだ3次元の大気大循環を用いた研究というように階層化して行った。1次元のフラックスのモデリングに関しては、チベットでの観測値とSiB2やMATSHIROなどの種々の地表面過程を表すモデルの結果との比較を行った。モデルの値と観測値は、おおよその傾向は一致するものの、測定値そのものにバイアスがありこの比較からすぐに地表面モデルの改良につなげるには、もう少し、時間が必要と思われる。また、フラックス観測の"Inbalance"の問題もあり、モデルの再吟味が必要と思われる。2次元のメソモデルについては、タイ、バンコク地域の日変化に伴う降水の最大値が真夜中になることを、2次元の非静力学モデルを用いて解明した。この研究は、モンスーンアジア地域の日変化に伴う水循環が、単に、海陸分布に伴う海陸風のような簡単な考え方で説明できるものではなく、付近の地形も考慮した複雑な見方をしなければならないことを示したものとして画期的である。3次元の大気大循環モデルを用いた研究では、主として、モデルの水平分解能の相違に伴う地形の表現の差に伴う、地表面フラックスについて吟味が、一ヶ月予報の可能性について検討を行った。T42(水平解像度約300km程度)とT106(水平解像度約120km程度)の2つのモデルを用い、1998年の夏のシミュレーションを行い、5度x5度地域の月平均の陸面フラックスについて両者のモデルでの比較を行った。結果は、この程度の大きな領域の月平均のフラックスになると、チベット程度の大きな山岳でないと違いがでないことがわかった。
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