研究課題/領域番号 |
11202202
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川本 辰男 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教授 (80153021)
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研究分担者 |
上田 郁夫 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助手 (70292836)
佐伯 学行 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助手 (70282506)
森 俊則 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教授 (90220011)
塚本 俊夫 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (40217287)
野崎 光昭 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10156193)
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キーワード | 電子・陽電子衝突 / LEP / OPAL / 鉛ガラスカロリメター / 標準理論 / Wボソン / Zボソン / ヒッグス粒子 |
研究概要 |
LEPは平成12年末に12年間にわたる運転を終了した。平成13年からは、測定器の解体を行なうことと並行して、これまでに収集した全てのデータを使った最終的な物理結果へ向けた解析が始まった。検出器の較正を改善し、解析方法の改良を行い、全データを一括して詳細に調べることにより、統計誤差と系統誤差の両方を押え込む。解析に必要な新しいモンテカルロシミュレーションを大量に生成することも始めた。 OPAL実験は全部で約10000のW粒子対生成事象を記録した。このデータを基に、基本物理量であるW粒子の質量を正確に決定し、生成断面積などの精密な測定によりWとZや光子などゲージボソンどうしの結合の性質を調べることはLEP2の重要な研究テーマである。Wボソン質量に関しては、現在のところLEPの4つの実験の暫定的な結果を総合したところ、0.05%の精度で決定されている。これは他の実験結果を大きく上回る精度である。しかし、この誤差の大きな部分は様々な要因による系統誤差であり、更に理解を深めることによりもっと精度を上げることができる。 その他の電子・陽電子衝突過程には終状態にフェルミオンが2個ないし4個作られる様々な反応過程がある。これらの振るまいは標準理論から正確に計算することができ、それを最高エネルギーでの精密測定と比較することにより理論を様々な角度から検証することができる。また、標準理論を越えるいろいろな新物理に対する制限を得ることができる。そのために、測定の系統誤差を理解する努力や、理論の計算精度を評価する作業などを行なってきた。 これら精密測定の結果を標準理論を使って総合的に解析することにより、理論で予言されていながら、未発見のヒッグス粒子の質量について知見を得ることができる。ヒッグス粒子は約200GeVより軽そうだという結果が得られている。 これらの結果は国際会議で発表され、結果がまとまったものは学術雑誌に発表されている。
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