研究課題
LEPのOPAL実験解析はその最終局面にあり、以下の解析に於て主要な役割を果たした1:LEP2でのヒッグスボソン探索結果の最終報告。この研究は、将来のリニアコライダーに於けるヒッグスボソンの発見とその特性の精密測定の基礎となる。2:LEP1とLEP2の実験結果を総合した、電弱統一理論のパラメータの精密測定に関する最終報告。特に、Wボソンの質量の測定に関し、本研究計画で開発された4フェルミオン生成シミュレーションプログラムが貢献した。3:LEP2でのWボソンの自己結合の測定に関しても、上記シミュレーションプログラムの採用により、系統誤差を小さくすることができた.上記項目1と3に関連した研究を、将来のリニアコライダーの物理の場合に発展させ、その報告を8月に韓国で開催された「リニアコライダーの物理」国際会議で発表した。理論的研究に関しては、上記の電子・陽電子コライダーでの新しい物理の研究を中心として、将来のコライダーでの新粒子発見の可能性を評価するための、様々な精密実験データとフレーバーの物理からの制限に関する研究を行った。主な結果は次の通り。4:上記項目1に関連し、超対称性標準模型のヒッグスボソン探索に於て、LEPの探索実験で排除されない軽い擬スカラーボソンが、電弱精密実験データを用いて排除できることを明らかにした。(萩原)5:軽い超対称性粒子のシグナルとも考えられている、ミューオンの異常磁気能率の測定に関連し、標準模型の予言の精密化に向けた解析を進めた。(萩原)6:将来のリニアコライダーに於ける、ヒッグスボソン結合の精密測定、特にその自己結合の測定が重要であり、そのためにリニアニライダーの衝突エネルギーを1TeV以上に上げる必要があることを明らかにした。(岡田)7:レプトンとbクォークが関与するフレーバー変換過程の研究により、超対称性理論の輻射効果を考察した。(岡田)8:LHCでの超対称性粒子、スクォークやスレプトン生成に於て、新しいフレーバー変換過程が観測される可能性を考察した。(野尻、久野)9:ニュートリノ振動から新しい物理を探索する方法を考察した。(萩原、久野)関連した研究をされている、ミュンヘン工科大学のリンドナー教授を招聘した。
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