研究課題/領域番号 |
11203101
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
湯田 利典 東京大学, 宇宙線研究所, 名誉教授 (60092368)
|
研究分担者 |
山本 嘉昭 甲南大学, 理工学部, 教授 (70068112)
堀田 直己 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (60157039)
大西 宗博 東京大学, 宇宙線研究所, 助手 (10260514)
荒船 次郎 大学評価学位授与機構, 教授 (80013415)
柴田 祥一 中部大学, 工学部, 助教授 (20267909)
|
キーワード | チベット / 宇宙線放射天体 / 高エネルギー宇宙線 / 空気シャワー観測装置 / 太陽中性子望遠鏡 / ガンマ線天源 / カニ星雲 / 活動銀河核 |
研究概要 |
1999年秋に533台のシンチレーション検出器(各0.5m^2)を碁盤目状に配置した高精度空気シャワー観測装置を設置し稼働を始めた。中央部分の検出器間隔は7.5mで(周辺部分の検出器間隔は15mである)、この部分がカバーする面積は22000m^2、検出可能なガンマ線のエネルギーは約2TeVである。また、同年9月にシンチレーション検出器と比例計数管で構成された面積が9m^2の太陽中性子望遠鏡を完成し、太陽フレアに伴う高エネルギー中性子の本観測を開始した。01年秋に、さらに200台の検出器を増設し、当初予定の面積が37000m^2の空気シャワー観測装置(検出器間隔は全て7.5m)を完成させ、昨年秋にはこの装置の周辺部分に56台の検出器を追加して、装置の感度向上を図った。最終的な空気シャワー装置の検出器総数は796台であり、シャワーのトリガー頻度は毎秒約1700イベントである。この装置を今後数年間にわたって定常的に稼働させる予定である。チベットの空気シャワー観測装置はTeV領域の宇宙ガンマ線を検出できる世界で唯一の装置であり、取得されるデータの量も世界最大となっている。 97年-99年の観測によりカニ星雲、及び活動的銀河核Mrk501からのTeV領域ガンマ線が有意に検出された。これは空気シャワー観測装置による世界最初のガンマ線点源の検出であり、国際的に高く評価されている。00-01年には活動的銀河核Mrk421からのフレア・ガンマ線も長期間に亘って観測し、フレアの長期的変動に関して新たなデータを得ることに成功した。 太陽の影については、今期の太陽活動の全期間に亘って影の変動を追跡することに成功し、その詳細な解析から太陽近傍の磁場変動について新たな知見が得られつつある。 昨年7月筑波で開催された第28回宇宙線国際会議でknee領域での一次宇宙線の全粒子及び陽子成分のエネルギースペクトルを発表し注目された。全粒子、陽子成分のスペクトルの折れ曲がり位置はそれぞれ約3000TeV、および100TeV近辺であることが確認された。この結果は、高エネルギー宇宙線が超新星残骸による衝撃波加速によって作られていることを強く示唆している。これらの結果を近日中に学術雑誌に投稿する予定である。
|