研究概要 |
中国と共同でチベットの羊八井(標高4,300m)に空気シャワー観測装置を設置し、宇宙から飛来する数〜数10TeV領域のガンマ線の系統的な探索と観測を行っている。宇宙線の起源と加速の問題を解明するのが主要な目的である。空気シャワー観測装置は面積0.5m^2のシンチレーション検出器を7.5m間隔で碁盤目状に配置したものである。 本年度は装置の拡張を行った。平成15年秋から冬にかけて外周部に15m間隔で56台の検出器を増設し、それらを用いて装置の外に落ちた空気シャワーを効果的に排除することで、角度分解能とエネルギー分解能の向上に成功した。本年度の拡張をもって、当初予定の検出器数789台、有効面積約37,000m^2の高密度空気シャワー観測装置が完成し、平成15年12月に運転を開始した。トリガ頻度は毎秒1,700イベントに達する。この装置は3TeV以上の宇宙線を精度よく観測できる唯一の空気シャワー観測装置である。 本年度は、2000年から2001年にかけて発生した活動銀河核Mrk421のフレア現象の詳細な解析を行った。TeV領域で5σを超える信号を検出し、さらにこの信号の30日毎の平均ガンマ線強度はX線のそれとよい相関があることを見出した。この結果はThe Astrophysical Journalに発表した。 このようなガンマ線強度の時間変動を観測するには、長期連続安定観測が可能な空気シャワー観測装置が最適である。
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