研究分担者 |
松原 豊 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (80202323)
龍岡 亮二 中部大学, 経営情報学部, 教授 (60227098)
宗像 義教 中部大学, 工学部, 助教授 (90131169)
さこ 隆志 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (90324368)
増田 智 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (10262916)
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研究概要 |
本研究は,太陽の表面で起きる爆発的現象(太陽フレア)に伴って生じる高エネルギー中性子を観測することにより,フレア時に粒子,特に陽子やイオンが高いエネルギーにまで加速されるメカニズムを解明することを目的とする.ただし,観測対象の中性子は,太陽地球間の磁場の影響を受けることなく,直接地球に加速時の貴重な情報をもたらすという特徴を持つが,間接生成物であるという点で観測が難しい.そこで我々は,独自に開発した太陽中性子望遠鏡を,太陽をできる限り長い時間観測するため様々な経度で,さらに,大気による中性子の減衰をできる限り減らすため空気の薄い高山に設置すべく努力し,本研究の中心地であるチベットや国内(乗鞍)をはじめとする太陽中性子国際観測網を築いてきた. 今年度は,昨年11月にメキシコとボリビアに渡り,太陽中性子望遠鏡の調整を行った.メキシコ・シェラネグラ山頂の検出器は昨年度末に設置したものだが,今年度は,設置時に未完成であった方向検出器を完成させた.ただし,現在電源が定常的に供給されていないため,現地の研究者が定期的に山頂を訪れてデータ収集を行っている.電力ケーブルの設置は完了しているので,次年度早々には連続運転が開始できる見込みである.また,ボリビアの検出器に関しては,故障していた光電子倍増管を新しいものと交換し,検出回路の調整を行った. 太陽活動は,現在極小期へ向かっているが,昨年11月4日に観測史上最大規模のX28という太陽フレアが発生した.この現象の前後の活動が激しかった期間に太陽中性子国際観測網によって得られたデータに関し,現在鋭意解析中であるが,太陽中性子の検出を示唆するイベントが複数見つかっている.これらのイベントが本当に太陽中性子によるものであるかどうかを確認するため,太陽中性子望遠鏡のデータの詳細な解析や,硬X線とガンマ線の検出器を持つRHESSI衛星のデータなどとの比較を行っているところである.
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