研究分担者 |
力石 國男 弘前大学, 理工学部, 教授 (70038561)
乙部 弘隆 東京大学, 海洋研究所, 助手 (10169328)
柳本 大吾 東京大学, 海洋研究所, 助手 (40260517)
小賀 百樹 琉球大学, 理学部, 助教授 (50153515)
橋本 良夫 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (80180842)
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研究概要 |
東シナ海・日本海の海洋環境,特に海流のモニタリングシステムの構築のため,従来の観測手法を補完するような新しい二つの観測技術について観測技術の確立を目的とした研究を行った。 とりあげた観測技術の一つが,自律的に浮上沈降を繰り返して海流を含む海況要素を計測するポップアップフロートで、もう一つは海底ケーブルを利用した海流流量の時系列観測技術である。 研究期間中,日本海に4台投入したポップアップフロートは,2台が数ヶ月で,1台が1年ほどで津軽海峡から太平洋に抜けたが,残りの1台は日本海で3年以上も観測を続け,船舶による観測を充分な頻度で行うことの困難な北部日本海の海況データを取得した。この観測手法の有効性が示され,国際的な中層フロート放流計画であるArgo計画に我が国が積極的に参画する際の基礎データを提供した。 海底ケーブルを利用した海流モニタリングについては,海流によって誘起される起電力は海流の流量に比例していることが確認され,津軽海峡,対馬海峡,トカラ海峡,伊豆諸島海域,沖縄南西海域において,起電力と流量の間の関係が得られた。伊豆諸島海域の黒潮流量が48Sv(スベルドラップ;1Sv=毎秒百万m^3),トカラ海峡と対馬海峡の流量変動がそれぞれ6Sv,2Svと評価された。また,対馬海峡では短周期の風の変動の影響が大きく,流量が1日程度の時間スケールで変動する一方,トカラ海峡や伊豆諸島灘では1週間から10日程度の変動が卓越していることが明らかにされた。 両観測技術とも,従来の観測手法では捉えられない現象を観測した。今後は,その特性を生かし,既存の観測技術と複合的に利用したモニタリングネットワークの構築が望まれる。
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