研究概要 |
1.黒潮リアルタイム監視システムに必要な潮位・気圧データの入手に関し,気象庁と海上保安庁水路部の協力を得ることができた。気象庁験潮所の潮位データと水路部験潮所の潮位・気圧データを1〜2か月遅れで提供してもらえるようになり,1999年l0月からは,水路部のホームページを通して水路部験潮所のデータにリアルタイムでアクセスできるようになった。その結果,黒潮の監視に必要なデータを,ほぼリアルタイム(気象庁潮位は1〜2か月遅れ)で収集できるようになった。 2.黒潮が日本南方海域で大蛇行しているかどうかを,紀伊半島南端の2点(串本と浦神)の潮位差から機械的に判断できるかどうかを検討した。その結果,潮位差の値と変動がある程度大きい場合には大蛇行していないと判断できるものの,それ以上の判断を機械的に行うのは難しいことがわかり,監視システムには潮位差の時系列を表示することにした。 3.計算機画面に表示する潮位の時系列とそれから得られる黒潮情報の分かりやすい表示方法を検討し,流路・流速・流量に分けてホームページに掲載するシステムを作成した。 4.フェリーに搭載した音響ドップラー流速プロファイラー(ADCP)を使い,トカラ海峡の表層流速データを収集し,黒潮の表層流速の時系列を取得した。 5.トカラ海峡のフェリー航路の近くで取った流速の時系列を使い,潮流成分を評価した。M_2分潮流が卓越し(長軸振幅13.0cm s^<-1>,変化幅7.9〜19.9cm s^<-1>)黒潮に近い大きな流速をもつこと,その変動が黒潮の南北変動と相関の高いこと,及びS_2,K_1,O_1分潮流の長軸の向きがM_2の長軸の向きや黒潮平均流向と一致すること等の知識を得た。こうした潮流の性質に関する知識を基に除去方法の検討を続ける。 6.XCTDを購入し,フェリーでの水温・塩分測定ができるように機械の設定を行った。
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