研究概要 |
1.ホームページhttp://dpo.ori.u-tokyo.ac.jp/research/Tidesに,潮位に基づく黒潮の流路・流速・流量の情報を引き続き公開している。この黒潮リアルタイム監視システムに必要な潮位データを,前年度に引き続き準リアルタイムで収集し,1997年と1998年の気象庁のデータと1998年と1999年の海上保安庁水路部のデータを日本海洋データセンターより入手した。この結果,1961年から現在までの潮位データの整備をほぼ完了した。 2.九州南東に発生し東方に伝播する黒潮小蛇行が,日本南岸域潮位の20〜80日周期変動のEOF第3モードによってモニターできる可能性を示し,このモードの大きさの時系列を流路情報に加えた。さらに,気象庁が編集している日本近海200m深の月平均水温グリッドデータをNEAR-GOOSデータベースから随時入手し,黒潮流路を示す各月の水温平面図を流路情報に加えた。また,黒潮流量の情報として,沖縄・台湾間等の海底ケーブルの電位差変動を加え,潮位から見積った流量変動と比較した。 3.九州南方の黒潮について,2日に一回の割合でトカラ海峡を横断するフェリー「あけぼの」に取り付けた音響ドップラー流速プロファイラー(ADCP)により,流速断面の時系列観測を継続して行った。資料の取得率は3分の1強の年間約80回である。流速の水平分布は2日間のうちに急変することが多い。 4.白鳳丸KH-00-4次研究航海で,トカラ海峡のフェリー航路上に係留ADCP2系を設置した。TK1(30°07.96'N,130°11.27'E;水深576m)では海底上50mにRDI社LR-ADCP(75KHz)を設置し,TK2(29°44.18'N,130°01.19'E;水深619m)では海底上250mほどにRDI社ADCP WHS300-I(300KHz)を下向きに,その直上にWHS300-I-UG25(300KHz)を上向きに付けて,いずれも500〜600mの厚さの流速を1時間ごとに測定している。
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