研究分担者 |
前田 広人 鹿児島大学, 水産学部, 助教授 (80238873)
市川 敏弘 鹿児島大学, 理学部, 教授 (30109110)
松野 健 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (10209588)
中村 啓彦 鹿児島大学, 水産学部, 講師 (50284914)
櫻井 仁人 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (10094145)
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研究概要 |
本研究は,1ヶ月間程度の期間中に得られた東シナ海現場観測資料に含まれている潮汐流,海面風応力,海洋前線位置の時間・空間変動と生物化学過程に起因する実験誤差を観測資料から評価するとともに,水温と塩分の他に諸化学成分・生物量をトレーサーとして用いた水塊の分類・追跡によって海水流動構造と拡散・混合過程の実態を把握することを通して,短期および長期数値予測モデルの予測精度の向上に資することを目的としている.この目的の達成を目指して,平成12年度には,5月,6月,10月,11月に東シナ海陸棚縁辺域他で海洋観測を行った.5月16日から23日には,長崎大学水産学部附属練習船「長崎丸」と「鶴洋丸」を同時に運航し,大陸棚縁辺部の2本の黒潮横断観測線における水温・塩分の繰り返し断面観測によって,黒潮前線付近の海洋構造の短期的変動を捉えるのに成功した.6月12日から23日には,鹿児島大学水産学部練習船「敬天丸」を用いて,屋久島西方黒潮流域で黒潮横断観測を行い,数日間の間に黒潮流路が大きく変化した時の海洋構造の変化を捉えるのに成功した.また,水温・塩分のみならず栄養塩・有機懸濁物濃度・クロロフィルおよびピコプランクトンの群集構造を用いることによって黒潮域と沿岸域の詳細な水塊区別が可能であることを確認した.9月30日から10月15日には,東京大学海洋研究所研究船白鳳丸により東シナ海の黒潮を横切る5測線を含む10測線で断面観測を行い,黒潮域に貫入した沿岸水の痕跡の追跡に成功した.また,トカラ海峡黒潮流域に新規購入した係留用ブイを用いてADCPを設置した.11月17日から30日までの敬天丸航海では,奄美大島西北西方大陸棚斜面で係留流速計の回収・再設置を行なった.
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