研究分担者 |
前田 広人 鹿児島大学, 水産学部, 助教授 (80238873)
市川 敏弘 鹿児島大学, 理学部, 教授 (30109110)
松野 健 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (10209588)
中村 啓彦 鹿児島大学, 水産学部, 講師 (50284914)
櫻井 仁人 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (10094145)
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研究概要 |
本研究は、1ヶ月程度の現場観測期間中の資料に含まれている短期的な時間変動および局所的な空間変化成分を評価するとともに、新たなトレーサーを用いた水塊の分類・追跡によって海水流動構造および拡散・混合過程の実態を把握することを通して,短期および長期数値予測モデルの予測精度の向上に資することを目的として行われ,以下の成果を得た. 1.短期時間変動および局所空間変動 (1)水深110mの大陸棚上の1辺15kmの正三角形を3時間で1周する厨回競測を55時間実施し,水温・塩分・流速の3次元分布と栄養塩他の生物化学的要素の鉛直分布の局所時間変動量を評価した. (2)大陸棚縁辺域黒潮前線付近の3測線で1.5日毎の水温・塩分・濁度・溶存酸素量の鉛直断面分布観測を3回繰り返して実施して,低塩分水の黒潮中層への潜り込み現象の時間規模が数日であることを明らかにした. (3)黒潮横断観測線上および大陸棚上での5日〜12日間隔の2回の観測によって,水温・塩分・流速・栄養塩他の鉛直分布の黒潮前線移動他に伴う変化量を評価した. 2.水塊の分類・追跡 (1)大陸棚および黒潮流域における3回の細かい測点間隔での広域観測により,水温・塩分・流速・栄養塩他の3次元分布の詳細を把握した. (2)東シナ海の水塊を分類し,その移動を追跡する指標に,非保存量である有機懸濁物・クロロフィル・各種栄養塩・溶存酸素量、およびフローサイトメーターによって識別される3種のピコプランクトンの個体群の存在量を利用できることを明らかにした. (3)塩分と溶存酸素が黒潮水より若干低い水塊が陸棚外縁域の比較的広い範囲に分布することを明らかにした.
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