研究課題/領域番号 |
11206201
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
徳宿 克夫 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (80207547)
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研究分担者 |
山崎 祐司 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (00311126)
久世 正弘 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (00225153)
山田 作衛 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 所長 (70011658)
鶴貝 達政 明治学院大学, 法学部, 助教授 (50267366)
椎野 二男 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (20092231)
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キーワード | 電子・陽子衝突 / HERA / ZEUS / 新粒子探索 / 陽子構造 / クォーク / 深非弾性散乱 / 高精度シリコン飛跡検出器 |
研究概要 |
ドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)に建設された電子・陽子衝突型加速器HERAを用いて、電子陽子間の深部非弾性散乱を精密測定し、新粒子の探索と陽子構造を測定する。我々を含む12カ国の国際共同実験グループZEUSが実験装置を建設し運転している。この装置を用いて、今年度は、27.5GeVの陽電子と920GeVの陽子との衝突実験を4月から9月まで行った後、加速器の高輝度化を目指した改造のために実験を中断した。データ収集は順調に進み、2年間で積算ルミノシティ67pb^<-1>を得た。また、HERA加速器の改造に伴い、ZEUS測定器の改造を進めた。日本で進めている飛跡検出器の読み出し回路の製作が完了し、検出器と接続した最終性能テストを平成13年1月から開始した。宇宙線を使ったテストでほぼ予定通りの性能が得られることが確認できた。 昨年度は、高い運動量移行(Q^2>200GeV^2)での陽電子・陽子衝突反応での中性流及び荷電流非弾性散乱断面積の測定を論文として発表したが、今年度は電子・陽子衝突反応での同様の解析、そして、Q^2の低い領域での解析を進めた。その内、運動量移行の非常に低い領域(Q^2=0.045-0.65GeV^2)での結果を年度中に論文発表した。実験で測定可能な全領域での断面積測定と、その結果と量子色力学のモデルとの比較により陽子内部のクォークとグルーオンの分布を決定する解析を進めた。現在ほぼ終結し論文投稿の準備にかかっている。 高いQ^2で得られた結果と標準模型の予想とを比較するとよく一致し、そこから新相互作用等の模型に制限を加えることができる。レプトクォークや励起レプトンの兆候はなく、これらの粒子質量の下限を定めた。2001年春のイタリアにおける国際会議でこの暫定結果を久世が発表した。
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