研究課題/領域番号 |
11206202
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
浜津 良輔 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (20087092)
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研究分担者 |
犬塚 将英 , 学振特別研究員
喜多村 章一 東京都立保健科学大学, 保健科学科, 教授 (60106599)
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キーワード | HERA加速器 / 偏極電子・陽電子ビーム / 偏極度測定器 / シンチレーションファイバー検出器 / シリコンマイクロストリップ検出器 |
研究概要 |
HERA加速器は2000年9月に開始された改造により、これまでの5倍以上のルミノシティを得ることができるようになる上に、電子を縦偏極させて右巻きあるいは左巻きの電子と陽子との衝突実験が可能となる。これにより今までに比べて格段に良い精度で、電弱相互作用パラメータの精密測定や、右巻き電流の存在に対する上限を決定することや、新現象の探索を行うことができる。そのためには電子の偏極度を2%以下の精度で決定しなければならない。 これまでの偏極度測定精度の限界を与えていた原因を詳細に検討した結果、カロリメーターによるγ線の位置決定精度であることが判明したため、カロリメータの前面にシリコンマイクロストリップ素子を用いた位置感応光子検出器を設置した。また、シリコンマイクロストリップが長期にわたる使用で放射線による損傷を受け,性能が劣化した場合の位置決定精度を監視するために、シンチレーションファイバーを用いたトリガーシステムを製作してマイクロストリップ検出器の前面に設置した。 これらの性能を調べるため、2001年7月にDESY電子シンクロトロン、同年8月にCERNのSPSビームを用いてビームテストを実施した。DESYでのテストでは、可動式シンチレーションファイバー検出器の動作を確認し、シリコンマイクロストリップの読み出しに成功した。解析の結果、必要とされる位置精度が2つの位置検出器から得られることが判った。CERNのテストでは、DESYより高いエネルギーの電子ビームを用いてテストを行い、それぞれ期待どうりの性能であることを確認した。12月にはこれらの検出器をカロリメータ本体と一体としてエンクロージャーに収納してHERA加速器のトンネル内に設置した。HERA加速器の試験運転中にビームによる信号データを取得して動作を確認するとともに、計測プログラムの総合的な組み上げを行って本番実験に備えている。
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