研究概要 |
HERA加速器は2000年に行われた故造により、これまでの5倍以上にルミノシティを増大し、電子を縦偏極させて右巻きあるいは左巻きの電子と陽子との衝突実験が可能となった。これにより今までに比べて格段に良い精度で、電弱相互作用パラメータの精密測定や、右巻き電流の存在に対する上限を決定することや、新現象り探索を行うことができる。そのために電子の偏極度を2%以下の精度で決定することが必要である。 これまでの偏極度測定精度の限界を与えていた原因を詳細に検討した結果、カロリメーター年よるγ線の位置決定精度であることが判明したため、カロリメータの前面にシリコンマイクロストリップ素子を用いた位置感応光子検出器を設置した。また、シリコンマイクロストリップが長期にわたる使用で放射線による損傷を受け、性能が劣化した場合の位置決定精度を監視するために、シンチレーションファイバーを用いたトリガーシステムを製作してマイクロストリップ検出器の前面に設置した。 2001年にはHERAの運転が再開され,偏極度測定装置により測定データを取得した.データを解析してシリコンマイクロストリップ検出器でγ線の上下位置を計測しこれとカロリメータで得られたエネルギーの上下非対称性パラメータの相関を得ることができた.期待どうりに偏極度測定装置が動作していることを確認した.今後はHERAの電子ビームの偏極度を調整のための運転の後,偏極電子ビームと陽子の衝突実験が行われることになっている.
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