研究課題
特定領域研究(B)
ATLAS実験におけるミューオントリガー装置のうち、本年度は下記の電子回路の開発と製作を行った。1 ASD電子回路ミューオントリガーチェンバーからの信号を整形・ディジタル化するこの電子回路のLSIを全数(予備も含め40万チャンネル分)製作した。ASD用ボードも全数製作し、現在組み立て中である。最初の約3000チャンネルについては全数試験を行っており、不良チャンネルはなく、予定通りの性能が得られている。また組み立てられたASDボード全数の試験を行うための検査装置も今年度製作しており、来年度からは検査とチェンバーへの組み込みを行っていく予定である。2 トリガー電子回路および読み出し電子回路ASDからの信号を組み合わせて高速でミューオンの同定を行うトリガー電子回路と、これら全データを読み出すための電子回路の概念設計を行った。これらの回路の中心となるいくつかの部分について、その機能・動作性能を確認するため、試験用LSIチップの試作を行った。来年度早々に試験を行う予定である。3 チェンバーモニター用電子回路チェンバー用高電圧装置やガス供給装置等のコントロール、チェンバーや各種電子回路等の状態モニターを行うためのシステムの設計要求事項をまとめ、それらを実現するための電子回路の概念設計を行った。今後更に詳細な条件等を詰め、試作を行う予定である。以上の通り、電子回路の設計・製作に関しては当初の予定通り進んでおり、これまでに試作・製作された回路についてはATLAS実験の要請を満たす十分な性能を備えていることが示された。