研究課題
ATLAS実験におけるミューオントリガー装置のうち、本年度は下記の電子回路の開発と製作を行った。1 ASD電子回路ミューオントリガーチェンバーからの信号を整形・ディジタル化するこの電子回路は、既に全数(予備も含め40万チャンネル分)の製作と検査が終了しており、現在量産が進行中のチェンバー本体への取付け・検査の作業中である。これまでに約70%が終了し、予定通りの性能が確認されている。宇宙線を用いた総合試験も行っており、約40%がCERNに輸送されている。2 トリガー電子回路および読み出し電子回路ASDからの信号を組み合わせて高速でミューオンの同定を行うトリガー電子回路と、これら全データを読み出すための電子回路の最終設計に基づくLSIチップを製作し、フルシステムテストを行い、良好な結果を得た。これらの電子回路をチェンバーに取り付け、他の関連電子回路も含めた総合試験をCERNの高エネルギー粒子ビームを用いて行った。この結果、基本性能の確認はできたものの、LSIチップの設計におけるいくつかの改良点が見い出され、急遽設計の再検討と再試作を行うことにした。3 チェンバーモニター用電子回路チェンバー用高電圧装置やガス供給装置等のコントロール、チェンバーや各種電子回路等の状態モニター用電子回路の設計と、これに必要ないくつかのLSIチップやFPGA回路の試作を行い、2の電子回路と共にCERNでのビームテストにおいて試験を行い、満足すべき結果を得た。これを基に、最終仕様の電子回路の設計・製作にとりかかる。
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